そろそろお客様のいらっしゃる時間ですわ。参りましょう、エレン?「はぁい、お母さま!」まぁ、お行儀が悪いですわよ?[膝から身軽に飛び降りる少女を母は眉を下げて窘める。元気な声で紡がれる謝罪の言葉には仕方なさそうに息を吐いて、手を繋いで客間へと向かう。今日来訪するのはあの戦いを共にした仲間の一人。積もる話もあるが、娘が客人に悪戯をしないか気を付けて見ておかなければならない。そんな事を考える流水の守護者の顔には、あの時と変わらぬ穏やかな微笑みが湛えられている。*]