―或る呪われ者の追想―
この地に渦巻く呪いの根源を受け(>>2:161)
次代の領主が呪われることが無くなった時。
この国にとって、クレステッドは邪魔な存在へと変わる。
濁り凝った水が溜まった器が、いつ零れるかもしれない。
クレステッドは主国より「呪いを一身に引き受けた貴君の勇敢さは讃えるが、領主の座からは退いて貰う。後の隠居の手配や安否は保証する」と言った内容の密書を受け取った。
しかし。金字塔の最高位の導師たる従弟が先だっての借りを返すためにと密かに伝えられた主国の目的。
クレステッド=ローティナーを、暗殺すること。
クレステッドの存在そのものが、主国の歴史の影ともいえる。
呪いを一身に受け続けた男は、主国にすれば呪いの根源を断ち切れば最早用無し。安否の保証などまっ赤な嘘だというリークを従弟より受けた。
――それでも呪いの根源を絶ちきるか。