― 掃討戦の後 ―
[総指揮官戦死の報が齎されたのは、掃討戦が粗方片付いた頃であろうか。>>224
彼方此方で点呼が飛び交う中で、血相変えて飛び込んできた早馬がそれを伝えた。]
――――なん、だと?
[目の前が暗くなる心地とはこのようなことか。
聞き間違いであったという一縷の望みにかけ、再度問い返す。]
『シュヴァルベ戦線総総司令官、トルステン・フォン・ラウツェニング准将が、敵将リエヴル・ド・トゥーレーヌと接触・交戦ののち戦死を遂げられました。』
[最初の報告と一字一句違わぬ、明瞭な声。
だが重く圧し掛かる事実に耐えかねてか、伝令の声も小刻みに震えていた。]