――宿屋・受付前>>249リヒャルト
…………。そう。
[抱きしめたくなる、と言われればますます耳が小刻みに動いたことだろう。顔は相変わらず表情を宿さないというのに、耳だけは揺れ動く。
きっと他の女性にも耳当たりの良いことを言っているのだろうとは思いつつ……言われ慣れていない言葉と対応に戸惑う]
…………うん。
足手まといは……死に繋がる……わかってる…。
あなたは、間違ってな……、っ?
[あの日に言い渡された言葉の真意>>253を聞けばそれはただうなずくだけだったが、相手が立ちあがって頭を下げたことにまた驚いた。既に動けなくなるほどに固まっていたというのに、今度は恐縮したように体を小さくさせる。
こんな自分に、そこまでの対応をさせてしまったことが申し訳なくて下へ行くことを促したが「とても楽しい」と言ってもらえたことに、また嬉しさが募ったようだ。
……それでも、唇の端がわずかに上がる程度の微笑しか生み出せないのだけれど。]