[するりと彼女を解放し。伸びたがる腕を留めるよう、片手を自身の腰裏に宛がい、右手を閃かせて見送りの所作。お気をつけて、と暢気を気取り、告げる男は、この後、待ち受ける事態を知りようもなく。ただ、薄暗い森から唯一の輝きが失せてしまったことに、切なく、小さく、溜息を零した。**]