[自分を物であるかのように言う少年が差し出したもの。唇の前に出された紅い液体が甘い芳香を放つのを呆然と見る。――これは、なんだ。目の前の少年と傍らの人物の指から流れ落とされたもの。そう、認識しているのに。動かぬからだがこれを飲めと欲しているけれど…意思がそれを押さえ込む。好きにすればいいと思うのは本当で。けれどそれを自らの意思で口にするのは自分の中の何かが拒否をする。いらない、と。意思を表示するものの視線は紅い液体から離れようとはしない]