「ロシア西部のネレフタのリアルタイム映像です」
「これは……」
「むぅ……」
[数人の呻き声が聞こえた。それに数人が目を背ける。
それも仕方はない。
何故なら、機動兵器は一方的に蹂躙され、町は文字通り火の海と化していた。
生きたまま炎の中に取り残される人々の影。
いやそれだけであれば、様々な勢力と戦争状態の地球では物珍しい光景ではない。だが今映し出されている映像は違った。
死体となった人々を持ち上げては玉にし、また持ち上げてはその外に貼り付けていく。そうして巨大な蛋白質の塊を作り上げると、口と思しき箇所に生まれた亀裂でごくりと飲み込んだのだ]
「これは下位天使と呼ばれる、欧州に出現する存在です。基本的に人型をとりますが、別段決まってる訳ではなく、自由自在に形状を変化させる事ができます」
[映像が切り替わった。
そこには人型から上半身を剣状にして敵をなぎ払ったり、巨大な大砲に変化してエネルギー砲を打ち出している画像が映った]