しょうがないねえ。せっかくのお客様だ、無下にダメとは言えないねえ。
それにほら、あいにく荷物置き場に困るほどの荷物は今はどこにもないわけさ。
[皮肉混じりの返事も、日頃から親しげに接する彼女にとっては了承の言葉と聞こえるだろうか。
宿を切り盛りする女主人らしく、相応の振る舞いをしてきた。
(元々の性格? 馬鹿をお言い!)
そんな自分に砕けた接し方をしてくる数少ない関係なのが、カタリナだ。
そんな彼女の前では、客にさえときには不遜とも言える態度を取るレジーナでさえ、素直な女性としての一面を見せる………………ことがあるかもしれない。
その素顔を知るものは、村の中でも少ないだろう。]