[――そして今、目の前に倒れている女性は、民間人だろうか。それとも]
……どうした?
その人、嬢ちゃんの……母ちゃん、なのか?
[絶命した女性にすがりつく少女が、爆弾を抱えた少年兵でないという保証はない。
それでも、少女の母であろうこの女性を殺したのは、自分が所属する隊であり、少女にとっては、女性がゲリラであろうが民間人であろうが、母を奪われたという事実には変わりがない]
『危ない! シモン!!』
[仲間の声が背後から聞こえ、同時に、熱風を浴びた。爆撃だ。
とっさに少女を庇ったのは、罪滅ぼしのつもりだろうか。理由は、自分にも分からない。
ただ、死なせたくないと思った]