― 街道 ―
[レトの両手にて振り下ろされた剣>>260は避けようと思えば避けられたが、あえて籠手の金属部分で受けた。
これほどの兵が最期に繰り出した一撃を、避けるのは勿体無い、と思ったためだ。その思いは伝わることなどあるまいが。
さて、組み伏せたレトに、彼に対する評価を告げる。
淡々と、しかし本心を。]
……レト。貴様と戦えたこと、感謝する。
……まったく、敵ながら優秀な将だ。
百も居ないはずの兵で、こちらは数百の損害を出されてしまった。
しかも大半は取り逃してしまったしな。
その上、一騎討ちで魔法まで使わされたのは本当に久しぶりだ……。
全く、よくやってくれたものだよ。
[レトに対して言う言葉には僅かな口惜しさも滲んでおり。
その言葉が心からの評価なのだということを表していた。]