[ 初めは失敗して何度か枯らせたり 腐らせたりを繰り返した功のお陰か 今は安定して実りを見せる橙色の果実。 実りの前の白い花はいつかを思い出させ その事に苦しむ胸は遠い憂愁の先であり、 今やまた新たな記憶が綴られ穏やかに過ごしていた。 ふと、もぞりの動く気配があった。 ぴくりと動く翼は相変わらず花の同じ白。 金色に縁取られた睫毛から覗く瞳の色も 変わりやしなかったけれども、 意地の悪い一言と視線>>254>>255に 竪琴を弾いていた指を彼の頬に向けて 柔く抓ってみせた。 ]