[門前から撤退する白狼騎士団に、わたしは同行しなかった。>>258
野心を実現するために、王宮ではまだすることがあったからだ。
フェリクス王子が戻られたら、一連の出来事について伝えることにしようか。
わが身が拘束されなければ、だけど。
身辺に残ったごくわずかな味方と共に、わたしは沙汰を待つ事にした。
その間に、こちらに向けられた視線を感じる。>>246]
…───。
[淡い桃色の頭。表情までは見えないけど、先日再会を果たしたばかりの新人だろう。
鎮圧の最中に、その姿を見る事はなかった。
目の前の光景に身が竦んだか、あるいは、……。
傍らの同志が話しかける声に思考は中断し、それきり視線の事は忘れた。]