─ 不穏な空気の中で ─
[ 城下のどこか。
歩みを進める先に、一際大きな人だかりと
馬に乗る軍服の姿 >>261 ]
……あれ、は
[ 顔は、知っている。直接話したことはないけれど、
ここ数日の間、王宮界隈でよく見かけた顔だ。 ]
……アイリ・フォールデン総督……?
[ と声を掛けようとするものの彼女の冷たい声に
すっ とそれは掻き消されてしまうわけだけど。
もしそのまま睨みつけられるようものなら
きっとすみません、と頭を下げて去り。
鉄拳が飛んで来るようならば、今回はきっと
左右の屈強な傭兵が、なんらかの動きをしただろう
では、民に手を上げるなら…………?
もし彼女がそのまま馬に乗って去るなら
不穏な空気を帯びたままの民とともに、
その後姿を黙って見送る筈。 *]