[高殿兄妹の写真を保存し、スマホをバッグに仕舞い。
戻ってきた炉の横顔を、改めて確認する。
彼女の指摘通り。怖いと称される表情は元よりだが、どうも顔色がよくない。>>227]
大丈夫か?
もし体調が悪いなら無理せずホテルに――…うお!?
[ぐい、と袖を引かれて踏鞴を踏む。
何事かと横を見れば、いつの間にやってきたのか鹿の姿が。
一見瞑らな目はありありと、よこせ、と語っていた。
よこせ、と言われても鹿せんべいは買っていないし、餌の持ち合わせなどありはしない。
どこか離れた場所で、悲鳴が聞こえた気がした。>>177]