[疾走する馬の速度に投擲の速度を乗せて、槍が飛んで来る>>256。
馬上にありながら狙いは正確で、胴のどこかには確実に当たる位置。
盾で防ぐことも考えたが、取り回し出来る軽さを重視した盾では容易に貫かれるだろう]
はっ!
[大きく横合いに飛んで交わす。
敵の接近は止まらず、その後も何度も投げ槍が飛ぶ。
そして]
来るぞ! 構えろ――!
[号令に続いて、一斉に振り下ろされる敵の槍。
盾隊は盾を頭上に掲げることで応じるが]
待て! 止まれ!!
[西側に抜ける気配を感じたセルウィンは、進路を阻むように半歩騎兵の側に踏み出した。
しかし、馬の勢いの前に身を投げ出すわけにもいかない。
振り払うような槍の一撃が、右肩の辺りを掠め通り過ぎていった]