[ ゲオルグが、テオドールに見えないように
人狼ならではの力で“強行突破“>>17を
目論んでいたとは思いもよらず。
彼が手をとってくれた理由が、自分の必死さ故とは
気づかずに、安堵で涙ぐんで。]
……はい。死ぬ気で、ついていきます。
わたしだけでなく、あなた達の命もかかってる。
足手まといにだけは、なりたくない。
[ 突き放すような言葉に、信用されていないのは分かった。
胸の奥がツキリと痛んだけど、無理もないと思ったから。
泣かないように、必死で、こくんと頷いた。
二人に声を掛ける前に、弟にだけは相談していたから。
弟も、母艦内では逃亡に手をかそうとしてくれた。
赤みがかった金髪に、翠緑の瞳をした、“カレル”と名乗った、
思いつめたような眼差しの“人狼”だった少年を。
二人が覚えているかどうかは、定かではないが。 ]