我らの勝利は、テオドール・グラムワーグの首を取らずして成り立たぬ。
かのもの、3年前に、魔境で姿を見せてからものの見事にあの軍を作り上げた。
取り逃がせばまた繰り返しになる。
作戦概略は単純だ。テオドール・グラムワーグを自軍奥に誘き寄せ包囲し、戦場で討つ。
……魔物相手の戦争とは――戦術上での勝利が戦略上での勝利に直結するものだな。彼の代わりは魔軍の中にはいないと確信している。
おそらく戦端は夕暮れから夜にかけて開かれ、かの者は余程のことがなければ自軍から出ることはないだろう。……こちらの勝利条件を熟知しているが故に。