[ 何のあてもなくふらふらと歩き、ついに倒れた金馬号の前
悲しくなんて、無い。この世に未練なんて、無い。
それなのに何故だか涙は止まらなくて。
冷たい地面を背中に感じながら空を眺めていたあの時
不意に空と私の間に入ってきたのはゲオルグと呼ばれる屈強な男性であった>>39
その時触れた彼の手は何よりも暖かく
まるで太陽のようだと思った
太陽のような彼に絶望に凍える心の一部が
溶かされたのだろうか。
その時思ってしまったのだ
まだ " 生きたい " と
運命の巡り合わせとは不思議なものだ
出ていけとは未だ言われていないものだから
いまもこうして居座っている ]