飛行船だ!
[飛行船は人気の玩具だ。
この頃はまだ他の少年と同じように、飛行船やら戦闘機やらに夢中になっていた自分は、歓声を上げた。
けれども「たいしょー」は飛行船じゃなくて宇宙船だと教えてくれた。]
うちゅうせん?
飛行船よりずっと高いところに行くの?
てんしさまのところにも行ける?
[勢い込んでいくつもいくつも質問を並べたものだ。
手の中に納まる小さな宇宙船は、ごつごつとどこかまだ荒削りな形をしていたけれど、きらきらと輝いて見えた。
多分それは、渡してくれた「たいしょー」の目がとてもとてもキラキラしていたからだと思う。]