― 霧がまだ晴れぬ中 ―[ぐん、と体の回りを力強い風が取り巻く。>>248これは前と違うなと、ショックのせいでぼんやりする頭で考えた。ゆっくりと地面に降ろしてもらっても、体中が痛くて起き上がれない。その横に座り込んだ氷竜は、心配そうにルゥルゥと鳴きながら少女の顔に鼻先を寄せていた]だい、じょぶ。ごめん、ね。[瞼は閉じたまま、なんとかそう呟いて手を伸ばした。曲刀は風刃を受けた時に落としてしまったのか、手元にない]