……生きたくても、……生きられない。
ええ、ほんとうに。
[太陽光の下、ニコリと笑うフローレンスは、もっと生きたかっただろう。
あのゴミの星に彼女が産まれなければ、彼女はもっと、自由に幸せに、今もまだその生を生きていた筈。
先生に生かされたあの日から。>>2:47>>2:48
死ぬ前に「花屋をやりたい」と、言った彼女の言葉>>1:394のままに花屋を始めた。
決して記憶から消さず、フローレンスの分も生きようと、その誓いを店の名前にした。
けれど……。
その日々を送ってゆくうちに、常連客も出来て、船員と話し、顔見知りも増え……。
"幸せだ"と感じることが増える。
……フローレンスの代わりにと始めたことなのに、自分が幸せになってゆく。
きっとそれをフローレンスは咎めたりしない……分かっている。
でも、そう分かっていながら、……幸せだと感じることが怖くなった。
幸せになってはいけない、私はただ、幸運なだけの人間なのだから、と。
ソマリの言葉には、俯いたまま曖昧に笑って……。
彼を見上げ、そして笑みを深くする。]