[砦へ退避してくる者たちを見つけて励ましの声をかけて進む。
北へ向うほどに、歩いてくる者たちの姿はくたびれ、怪我をしている者が多くなった。
長く前線に踏みとどまって戦った者たちだ。
グリフォンライダーが敬礼代わりに鉤槍を掲げ、ディークは肯首して意を重ね、通り過ぎる。]
──…、 あちらへ。
[何処にロー・シェンがいるか、コエに導かれずとも状況は示していた。
魔王が砦に見向きもしなかったのは、陣営でもっと”楽しいこと”が起きているからに違いあるまい。
それは、王国軍の敢闘と苦境を同時に意味した。]