[と、ひとり、と手の甲に濡れた気配を感じ、はっとそちらを見やる。向けた視線が二つの眼と出会い、そして、数秒止まった。見上げるシヴの眼差しが…相変わらず眼の色の判別は難しいが、今となっては顔を見れば二頭を見分けるのは容易い…男を諌める。先ほど青年を威嚇したとはいえ、理性的であることに定評のある彼女である。その瞳に窘められて、男はゆっくりとサーベルの柄から手を放す。]