人狼物語−薔薇の下国

68 Es2nd― 緋の世界に滲む月 ―


狩猟師 ギィ

[あの日のまま、彼の首へ締められたネクタイへ暫し視線を投じた。
外されなかった。それが何も意味せぬものであるとしても
今、ここにこうして彼が存在していること、
その事実に安堵する心が在り。

否定の言葉に力はない。
歯列で修復した舌をなぞり、唇へ付着する紅を舌舐め擦りしてから、]

 ――嘘をつく必要が、在るか?

 ……まあいい。お前が生きていた、それだけで充分だ。

[直接、言葉を発して薄く笑った。
朱に濡れた指先を掴んで、口許へと運び]

(260) 2013/10/11(Fri) 23:40:30 (presage)

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