傷薬は……
持っていますが、塗るわけにはいかないのです。
傷口に異物を入れてしまうと、次の占いの支障が出てしまう。
……わたくしに占いを教えた方は、そう仰っていましたから。
ですけど、大丈夫ですわ。
生命に関わるほど、失血しているわけではありませんし。
[オットーへ「それなりに多くの血が必要>>154」と言っていたことを、彼は忘れてくれているといい。
にこりと笑ってみせれば、その辺りで会話は終わるだろうか。
あと何度血を流せば、この宿屋に平穏が戻るだろう。
――あと何度、自分は血を流せるのだろう**]