[ 『不覊』
オルヴァルの砦の壁にロー・シェンが刻んだと、ゲオルグに教えられた言葉を思い出す。
何者にも捕らわれぬ、自由な心。
国という枠にも、貴族という身分にも捕らわれず、民と街を守るためにその首を差し出す事さえ厭わずにあろうとするファミルもまた、確かに、その心を持つ者、なのだろう。
それでも ]
沈まぬ太陽を沈めてしまえば、話は変わる。
[ 男は、それを理解しながら、別の考えを口にする ]
我々が皇帝アレクトール・スライ・モルトガット四世閣下を落とせば、二度目の侵攻は無いかもしれません。
[ それ、ですら、仮定に過ぎない。けれど、その仮定を現実にする意志がある、と、男は不敵な笑みを浮かべてみせた// ]