― エントランスホール ―
[ふる、と首を軽く振る。
聖魔剣の覚醒が齎した絆の通信魔法の内で交わした言葉、それを一時振り払うように]
どっちにしろ、やらなきゃならねぇんだし、な。
[帰還、回帰という言葉が示すもの。
明らかに『違う』存在と感じられること。
そんな疑問を解消するには、全く情報が足りていない。
知った所で、彼らの目的が目的である以上、やるべき事は変わらないけれど]
相手が何か知らないまま、ただ殴る、って。
すっきりしねぇからなぁ……。
[それは、勇者として見出された後。
王国軍との合流を頑なに拒んだ理由の一つにも繋がる。
『自分が勇者で相手が魔王軍だから』。
そんな理由だけで戦うのは御免だ、という気持ちがあったから、自分の目で現状を知りたい、と。
そんな思いがあったが故の単独行だった]