あの…その…傷――、今でも痛んだり…["痛んだりしますか?"と続けるより前に、無意識に縫合の跡へ怖々と手を伸びる。脳裏にリエヴルの憂いのある顔が浮かび。あの人も、こんな風に苦しい思いをしたのだろうか。こんな風に身体中に、幾多の傷があるのだろうか――と、そんな事を考えていた自分に気がつき。伸ばしていた手を、慌てて引っ込めた。]