― モーザック砦跡 ―
[散発的な昼の襲撃と、ある程度まとまった夜の襲撃は飽きることなく繰り返されていたが、魔王の沈黙は数日間にも及んだ。
中には、モーザック砦を落とした日に玉座の上を飛んでいた光を思い出して不安がるものもいたが、そんな臆病者は周囲から叩きのめされて沈黙する。
それでも不安を口にするものが増えてきた頃、ようやく魔王がその姿を玉座の前に現した。]
進軍する。
人間どもの最後の拠り所を叩き潰すぞ。
隊を整えよ。
[ついに下った命に、亜人たちは雄叫びを上げて進軍の準備を始める。
出立は、いつものように夕方頃となるだろう。]*