― 回想 ―
[ある日呼び出された、珍しい老将との一対一の酒の席。
何事かとは思いつつも思い当たる事もなく、始めは少佐となってからの事やら、報告がてらに口にしていたのだが。
ふっとその目が笑むのを止めて「敬礼が少し乱れているようだが?」と言わたのは、階級が上がり皇帝陛下の目に触れやすい位置に立ち並び、敬礼を捧げる事が多くなったある日の事だった。
ああ本題はこちらかと知ると、頭を下げて。]
すみません、以後気を付けるように…
[謝罪が全て出る前に「陛下に忠誠を捧げられんか?」そうじっと、鋭くも見える目で問いかけられ、少しの間の後、緩く首を振る。]
いいえ。
国の主を敬えないなら、軍人なんてやっていません。