― 野営地 ―
[ 司令官自らが偵察に出発した後の野営地には、僅かながら緩んだ空気が漂い始める。
それは、すぐには戦闘が始まる事はないだろう、という予測のせいでもあり、単純にトップが不在であるという緊張感の緩みでもあった。 ]
騎馬兵は各隊持ち回りで周辺の警戒にあたり、必ず休息を交代で取るように徹底しろ。
歩兵隊には食料を優先的に回して食事を先に済ますように。いざ戦闘という時に腹がこなれていない、では、話にならない。
工兵隊の進捗状況は?
投石器の組み上げは急がせておけ。
アレは、王都からも威力が見えるように運用してこそ意味がある。
[ そんな中、ナイジェルはタイガの言葉通り、残された兵達が退屈を感じる暇を与えぬように、指示を飛ばす。
攻城兵器ともなる投石器の存在は、ティルカン連邦軍のみならず、籠城を続ける王都アマンドの守備隊にも誇示するべきとの考えだ。 ]