[ママを呼んでも、ママはいない。
代わりにおねーちゃんが来て、抱っこしてくれたり、よしよしってしてくれたり。
いろんなおにーちゃんやおじちゃんも遊んでくれた。
でもこわかった。だって、それまでママがいないこと無かったし、男の人と一緒に遊んだことも殆ど無かったから。
ある日、大怪我をしたおにーちゃんが隣のベッドに来た。
歩けないおにーちゃんは、絵を教えてくれた。いろんなお話をしてくれた。でも、夜はすごい苦しそうだった。
おにーちゃんが歩けるようになった頃、私はおにーちゃんに懐いていた。いっぱいいたおねーちゃんたちよりも。
その頃にはママは死んじゃったこと、私は独りだということ、他に行く場所がない為に孤児院に行くことがわかっていた。
だから、おにーちゃんに「一緒に来るか?」って言われた時、嬉しかったんだ。]