旅人 ニコラス

話をシンプルにするために、まず結論から申し上げます。
何の見返りもなく、誰かに生きて欲しいと願えるような人に生きて欲しいとあなたが思っているなら、僕はその資格から既に外れています。

[真っ直ぐな眼差しでフリーデルを射抜くように見つめる。

三年前、シスターに薬を持ってきたときの自分とは違う。もう取り巻く状況もそれから思考も全て変わってしまった。シスターが想像している旅人《ニコラス》>>175>>176>>177は、既に別人へと成り果ててしまっている。]

僕は特別に大切なもの《親友のゲルト》を失ってしまいました。ある意味、半分死んでしまったも同然の身です。

でも生き長らえているからには、ゲルトの仇を取って、叶うことならゲルトが身を呈して告げた予言にあった”滅びの運命”に抗いたいと思っています。

……でも、もし僕のこの意思に反する人が現れたとしたら。

[ここで低く地の底から這いあがるような口調に変えた。]