[ そうしたら、なぜか懐かれた。
不愛想なナネッテの、何処がよかったのかは、いまだに分からない。
けれど、"ナネッテおねえちゃん"と、危なっかしい子猫のように、とてとてと駆け寄るのを無下には出来ず。
そのときに、人狼とは分からずとも、弟がいることは知れたか。
それも、ミサンガに興味をもったことから、始まったこと。 ]
……どっちも、かしら。
私の髪でもあるし、
兄の髪でもあるのよ……
目の色だけが異なる兄。
同じ時間に、同じ場所で生まれた
私の半身のような人。
その人とお揃いで。
お互いの髪の毛を、土台に編み込んで
つくってあるのよ。
[ 彼女が聞いたなら、そう答える。
その生死はぼかしたものの、敏い彼女であれば気付いていたかもしれない。
なにか特別な願い事は掛けていない。
だが、「あなたの幸せを願います」という意味を込め、親しい人と交換するのが通例であった。 ]