[言いかけた言葉は飲み込んで、店員さんに注文する。
立派な梅の木の写真をガラケーに収めたり、新薬師寺への道程について話したりしながら御膳の到着までの時間をつぶした。
御膳の到着は目よりも鼻の方が先に感知した。
二種類の茶粥の御膳―のっぺい汁の他に奈良漬けにおかき、デザートにわらび餅までついている―があたし達の前にそれぞれ並び。
玲緒が撮影をするのを見て、あたしも自分の御膳をガラケーで撮った。]
――え。いいけど。
[ぱちくりと目を瞬かせ、食べようとしているポーズで写真に収まった。
代わりに玲緒の写真も撮らせて貰い。]