………え。[ヨアヒムの声が聞こえた気がして、顔を上げた。涙を乱暴に、服の袖で拭うと、立ち上がる。すん、と森の中のにおいを吸い込んだ。>>256人の姿においても、鼻はよくきいて。]……ヨアヒム。[木々のにおいの中に、確かにヨアヒムの気配を感じ取った。追いかけてきてくれたんだ、という思いと、のんびりしすぎた、という思い。離れなければ、いけないのに。だけど今は、もう。もう一度だけ、]ヨアヒムッ![ヨアヒムのいる方向を目指して走りだす。]