― 18年前のある日・花咲く丘で>>244 ―
俺は明日この村を離れなければならない。
だから、お前に伝えておきたい事があるんだ。
[白いワンピースを着た『少女』は、
何故青年が此処まで真面目払っているか、理解できていたのか?
用も無いのに仕立て屋の前をうろうろしたり、
暇そうに窓辺で頬杖をついている『少女』に声をかけて、
外に誘い出し、森の末、花の咲く丘へと連れ出したりもした。]
俺は、お前が好きなんだ。
離れていても、ずっとお前を想ってるよ。
[青臭く、少年と青年の境で未だ時を止めていた頃のニコラスは、
陳腐な台詞を、真剣にエルナに告げた。]