― 回想・10年前 ―[あれは風花の村の教会にやってきて間もない頃だった。あの日もこんな風に雪が降っていた。空からふぅわりと降ってくる雪の華を、戯れにつかまえようとしながら早朝の教会に。教会の扉の前につくと、古ぼけた鍵束から扉を開ける鍵を探し出そうとするが、氷のように冷え切った鍵束から目的の鍵を選別するのは至難のわざ。しばらくカチャカチャ鍵の音を鳴らしていた。]