[止めなかった私も悪いのに。
それでも、殺した事を謝ってくれた。
悲しむ事を許してくれたのは彼だけだ。
元の金馬の仲間では。
でもそれは、同胞だから、で]
ディークが、船にいてくれたら良かった。
[ぽつりと漏れたのはそんな本音。
この優しい人が、船員の仲間なら。
自分はきっとここまで堕ちなかったのだ。
彼を喰らおうと誘い出すことも無かったのだ。
優しい彼だからこそ、最初の獲物に
しようと思った。
優しい彼に、また、血肉を味わう前に
責められたくなかった。
そう、私はまだ誰も殺してない!
酷く飢えながらもまだ血肉を口にしてはなく
きっと、そのまま死する道もまだあったのだ。
けれど、それももう、今は]