― 吟遊詩人の知らない物語 ―
光の登る空があれば 光の沈む海がある
輝く光があるならば 光が作る影がある
明けを待つ暁の国の隣には
宵を頂く黄昏の国があった
大地に咲く仇花も
暗がり満ちる海の色も
空の果ての暁の星も
歌として語るものすら もういない
[ ローレルに歌の才があったなら、
詩人の歌>>20に皮肉めいてそう返しただろう。
…仮に、画家という立場ではなく
詩人という立場であったなら…の話。
今は亡い国の話をするに
相応しい立場であったら…と
――有り得もしない仮定の、"もしも"の話。 ]