―聖神神殿・儀式の間―
失礼致します――
[聖神神殿の儀式の間に少女は足を踏み入れたのは刻限の15分前と言ったところか。
少女は桔梗色の髪を今日はハーフアップにし、青藤色のマーメイドラインのドレスに身を包んでいた。
肩周りとミモレ丈の裾、そして左腰から斜め下に向かって寄せる波のように二連のレースが使われている以外はごくシンプルな意匠だ。
アメリカンスリーブなので肩は出ているが腕は烏羽色のロンググローブで覆われ、
試練で破れてしまった虹色の領巾は修復が間に合い、腕に纏われていた。
胸元はいつものオパールが飾り、足にはストラップ付きの銀のハイヒール。
相棒をはじめとして、彼らとはもう二度と会えない。
見送りの場に相応しい装いで、という結果、このような形となった。]