……そうか、―――…そうだな。
[彼女の一言ずつに返す首肯。>>241
胸に篭る思いは、きっと誰も理解し得まい――彼の友以外は。
一度顎を引き、金の紗に視界を隠して。]
…………本当に、奴は、
[呟くように漏らせば、唇の裏を噛んで、そっと彼女の腕を取った。
相手の掌を己の右手に添わせ、熱を分けるよう、力が繋がる。]
良いかい、ユーリエ。
……君は聖女に成りなさい。
―――…少しだけ、力を分けよう。
[消耗し続ける腕に宿した風精を彼女の掌に移し、僅かながら刃を生み出す力を与えようか。
転写と言うよりは、一度二度、彼女に答える程度の風量。
聖女の手さえ、血に染めさせる男の断。
衛術に近い体温を彼女に分け、そっと、彼女にのみ聞こえる声で囁いた。]