また、考慮すべき事がもう一点。
あの詔勅には確かに国璽が押されていました。
御名の筆跡を模倣するのは容易いことですが、
国璽の印影までをも真似するのは非常に難しい。
[何者かが国璽を盗んだとか、勝手に利用したとかなら話は別だが。
もしもそんな事態が起きていれば、今頃は大問題になっている筈。]
そういった意味では、ウェルシュ殿下が語られた
『あの文書は確かに陛下が自ら記された物だが、
不幸にも軍の承認を得る前に急死なさった』
――という筋書きに、一応の妥当性はあると思います。
[ここまでは、あくまで客観的な意見を述べただけ。
そこで、貴殿の考えは如何に?と参謀に話を振った。]