…ん。
[やがて眠気が頭を擡げ。
欠伸を噛み殺すと男は緩く首を振った。
リボンで纏めた後ろ髪はその動きに合わせてゆらりと揺れる。
けれどそれくらいでは男の眠気は払えない。
食欲が満たされれば、次は睡眠欲。
城内に監禁され、実験動物のような扱いを受ける事もままある王宮生活においても、男の身体は何処までも自分の欲求に忠実だった。]
…あー、悪い。
ちょっと眠くなってきたから昼寝してくる。
もし茶会の時間に遅れそうだったら起こしてくれ。
遅れないように努力はする。
[何処で寝る、とは言わない。
その時の気分によって変わるからだ。
聞かれたら、多分、自分の部屋?くらいは答えるが。
引き留められなければ、雲を踏んでいるような少し怪しい足取りで食堂から出て自室へと向かう。*]