[膝を落として自分の前に屈み込み、
傷について問われればそっと耳元を押さえ
目を背けてしまった。
花弁と花弁が擦れる柔らかな音。
黄色のカーネーションの奥で、
自分で傷つけた傷がズクズク熱を帯び疼く。
彼の笑顔が眩しい、けれど。
大っ嫌いな、人間の笑顔なんだ]
………マーティンは、確かに大人だった。
あんなに早くに死なないで
もっと沢山、教えて欲しかった。
私ももっと大人だったなら。
みんなに頼りにされたかな。
……私がまだ若輩だから?
[だから責められたのだろうかと、
苦く、苦く笑って。
ゲオルグの話が出れば(>>242)
その時は、その時だけは、
ふ、と自然な微笑みが漏れた]
……謝ってくれたの、あいつだけだ。
こんな事になって。