―レディ・タイクーンについて―
イングリッド=アルムグレーンの「過去」は、そこらの探偵でも調べれば簡単に辿り着くことができる。
1:スウェーデンの片田舎の出身で、両親は貧乏農民。
2:デンマークのある政治家の隠し子。
3:ノルウェー出身。幼い頃に両親を事故で失い、孤児院育ち。
4:フィンランドの名門軍人一家の出身で、自身にも軍歴あり。
この4つの出自の全てに対し、ある程度の信憑性のある証拠や証人がおり、一方でそのどれもが決定打にはなり得ない。
端的に言えば、イングリッド=アルムグレーンの「本当の過去」は、謎に包まれているということだ。