いいえ、貴女は熱いのですか?
―――湯中りか…、少し調べてみましょう。
[態とらしい振りは実に白々しく。
五指が伸びるのは彼女の柔肌、肌理に白濁の湯を塗りつけて脇腹を掻き、するすると鳩尾から上昇。
体温を測るなどと言う虚偽は、大きな掌に因って遂行され、ひたりと胸の位置で停止。]
――――…ああ、確かに。
此処は、少し、熱いかもしれません。
[言葉を区切り、言い聞かせるように伝えれば、そっと指を折り曲げ、指先の質量を精神とすり替えた。
五指が向かうのは彼女の身体の―――器の更に奥へ。
秘めたる場所へ触れたがり、指が皮膚下にずぶりと潜る。
いつか、お互いの根源の位置を確かめたときのように。]