── 回想:カシムの遺体発見時 ──
[ 言葉が鈍る様子に、おや、と思う。>>150
その思考の先に、ディークがいるとは、そしてその確固たる決意は知り得ることはなかったけれど。
血を拭えば、するり、と零れる懐かしい呼び方。
随分と久方ぶりの呼び名に、ナネッテ自身も驚いたように僅かに目を見張る。
副艦長、そう呼ぶと隠そうとしつつも、しょんぽりとしていたことは知っていた。
それでも、立場上のものだと理解して、受け入れてくれていた。
今呼ぶのは、"信じたい"からか。 ]
………全く、
気を付けなさい、"ガートルード"。
[ 甘いな、と自分でも思った。
けれど、幼いころから懐いてくれた少女にはどうしても甘くなるのだ。 ]