[元来た道を辿るのは、さほど難しくはなかった。けれど、鮮度の落ちた血の匂いに混じって、新たに違う血が流れたと、嗅覚が教えてくれた。それが呼びかけを逡巡させる。足音をできるだけ忍ばせ、ひっそりと佇む人影に近付いていった。]