[魔界の深層に、その花園はあった。 青々と茂る枝葉に、万年通じて咲き誇る白き花。 橙色の果は、艶やかに実って枝を撓らせる。 彼を初めて抱いた中庭も、花嫁の色に満ちていた。 丹精込めて育てた花園は、うら寂しい古城をも変え。 城壁の合間から、ちらちらと白い花が覗く。] ―――…君の艶声を聞かせて育てた花は、 すこし、花弁の縁が淡く染まるのだよ。[ふ、とほくそ笑む男は彼の膝の上。 花見の為に建てた東屋は、華胥を微睡むには最適。 特に彼の膝を枕とすれば、牀榻と癒着しかねない。]